読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

それでも残したいもの

何かがおかしい。このまま放置はまずい気がする。こういう直感力は、人が元来備えているものではなく、データベースの蓄積からくるもの。

なにがおかしい?原因はどこだ?

仮説を立てる。いつ、どうやって検査する?早い方がよさそうだ。

スイッチを押す手が震える。深呼吸して...行くか。スイッチを強く押し込む。これ、3Dタッチだから。

手順通りに手を動かしていく。ランプが点滅を繰り返す。その様子をただ、見つめる。いまこの中で起きていることが手に取るようにわかる。

オッケー。仮説が事実に変わる瞬間。3時間...。椅子に座ったまま涙を流す。

検査結果のヒアリング、病巣の確認。ステージ2だ。あと一ヶ月放置したらステージ3へ進行するだろう。ギリギリのタイミングで気づいて本当によかった。

これは、手術だ。本格的にやらないとステージはさらに進む。病巣に悪意はない。ただ、本能的に自己の増殖を繰り返すだけ。それはやがて体全体を覆い尽くし、死に至る。薬では止まらない。手術か...

失うものの大きさを思い、涙が滲む。これも、これも、失っていくのか。

でも、時間はかかっても、ていねいにやろう。忙しい毎日に埋もれて気づかなかったものを、拾っていくように。何を残し何を失うのか。選んだものしか残らない。わかってる。

覚悟を決めてメスを握る。大丈夫、必ずよくなるから。そうしたら、またみんなで毎日を笑って暮らそう。